第173章

中村哲也がオフィスに戻ると、自分のデスクの後ろでくつろいでいる男の姿があった。彼はやれやれといった様子で口を開いた。

「我が悟社長、あんたはもう正式に会長に就任したんだ。これ以上人目を忍んで、俺のオフィスに居座る必要なんてないだろう」

佐藤悟は座ったまま動こうとせず、中村哲也は仕方なくソファに腰を下ろした。

佐藤悟が軽く手を挙げると、石原透哉が茶器のセットを運んできて中村哲也の前に置き、さらに小さな茶葉の缶を手渡した。

「お前の好きなやつだ。昨夜本家に帰った時、わざわざ持ってきてやったぞ」

と、佐藤悟が言う。

「持ってきてやった、だと? どうせ大旦那の目を盗んで、堂々とくすねてき...

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