第186章

高橋桜が腹を立てて立ち去った後、坂田健之はスマートフォンを取り出し、父親である坂田常務に電話をかけた。

「手配してくれ。今夜なら見合いをしてもいい」

その声に感情の起伏はなく、まるで法律の条文を読み上げるかのように淡々としていた。

「午後のお見合いをどうにか理由をつけて断ったばかりだぞ。それなのに今更夜ならいいだと? ふざけているのか! 羽鳥家のお嬢さんを一体何だと思っているんだ。会いたい時に会って、気分が乗らなければドタキャンするつもりか? 先方だって忙しいんだぞ」

息子のあまりにも身勝手な言い分に、坂田羽介は怒りを抑えきれず、思わず声を荒らげた。

それでも坂田健之は変わらず冷静...

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