第226章 寝たふりをしている人を起こすことはできない

 細谷心晴は鈴木晶の家を出て、そのまま細谷の実家へ戻るつもりだったが、家の門前まで車を走らせたところで、ぴたりと停まった。

 彼女は車内でしばらく物思いに沈んでいたが、最終的に、まだ家には帰らないと決めた。

 翌朝、彼女は父にメッセージを送り、トクイロウに呼び出した。

「どうして急に朝食に誘おうなどと思ったんだ? ここ数日私は忙しくてな、もともと原口春斗は大した人物ではないと思っていた。グループ内ではいてもいなくても同じだと。だが、いざ彼がいなくなると、これほど仕事が増えるとはな。心晴、お前も早く重責を担えるようになれ。私をがっかりさせるなよ」

 細谷拓真は店に入るなり、不機嫌そうな...

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