第348章 彼女が記憶喪失になったことを疑わない

細谷心晴は背後の女の罵声を無視して、警察署を出た。

 出た途端、鈴木晶から電話がかかってきた。彼は低い声で言う。

「調べがついた。金で動く私立探偵だ。問い質させたが、相手とは一度会ったきりだそうだ。だが、半分の顔から原口美玲だと確認できた」

「やっぱり彼女ね。こんな下劣な手で私を陥れようとするなんて、どれほどの腕があるのかと思っていたのに」細谷心晴は嘲るように鼻を鳴らした。

 鈴木晶が尋ねる。「何か俺にできることは?」

「何もないわ」細谷心晴は言った。「これは私の家の問題だから、自分で片付ける。安心して、しばらくはあなたの奥さんを誘ったりしないから」

「手伝いが必要な時は言え。俺...

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