第427章 入り口でひざまずく彼を見た

「駄目よ」と、田中唯はきっぱりと断った。「あなたが心晴を誘い出せないのは、彼女があなたと一緒に食事をしたくないからに決まってるわ。私は彼女と友達なのに、どうしてわざと騙して、困らせるようなことができるの?」

「どうして困るのよ、あたしは猛獣じゃないんだから。ただ一緒にご飯を食べるだけじゃない。仲良くなりたいだけなのに。今の細谷家を取り仕切っているのは彼女だし、俊也兄さんも彼女の言うことしか聞かないから。じゃなきゃ、あたしだってわざわざご機嫌取りなんてしないわよ」と、青木奈々は唇を尖らせて言った。

噂をすれば影。田中唯のスマートフォンが鳴った。驚いたことに、細谷心晴からの着信だった。

「...

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