第171章 何を根拠に信じるのか

すぐに彼女の異変に気づく者が現れた。

人々は藤咲花音の背中を、妙な眼差しで見つめている。

「あの男、カノンを迎えに来たのか? どういう関係だ? 桐島翔太じゃねえよな」

「桐島翔太の野郎、俺たちをこんな目に遭わせておいて、よくものこのこと来れるもんだ。脚の一本もへし折ってやる!」

「翔太じゃないなら誰だ? カノンとずいぶん親しそうじゃねえか」

「……」

藤咲花音はかなりの距離を歩いており、背後のざわめきには気づいていなかった。

山を下り、桐島征十郎の前に立つと、少し足がすくむ。

さっき彼を見たとき、少しはしゃぎすぎてしまったかもしれない。

今の状況は、他人から見て親密すぎない...

ログインして続きを読む