第172章 全部彼女のせいだ

一瞬、その場は膠着状態に陥った。

人々は桐島征十郎を半信半疑で見つめつつも、その圧倒的な威圧感に気圧され、うかつに手を出せなくなっていた。

桐島征十郎は無表情のまま、目の前の群衆を睥睨した。

彼らの心情は理解できる。だが、藤咲花音に手を上げたことだけは容認できなかった。

「さっき、先に手を出したのは誰だ?」

威厳に満ちたその視線が、一人一人の顔をなぞるように動いた。

その眼光と目が合い、人々は一様に怯んだ。

視線を逸らそうと、こっそりと後ずさる者もいる。

桐島征十郎はその動きを見逃さず、ある男に視線を固定した。

「桐島翔太に虐げられたからといって、女一人に八つ当たりするとは...

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