第236章 返答

藤咲花音は喉元まで出かかった拒絶の言葉を飲み込み、一瞬の思案の末、巧みに話題を転換することにした。

「野谷さんの手腕があれば、桐島社長のお耳にも自然と届くはずです」

彼女は穏やかにそう告げた。

「それより、野谷さん。私がすべき業務についてご教示願えますか?」

拒絶もせず、かといって明確に承諾もしない。

その曖昧さが、野谷の耳には「交渉の余地あり」と響いたようだ。

彼はそこらの愚か者とは違う。桐島征十郎と桐島翔太が完全な敵対関係にあるなどと、本気で信じてはいなかった。

もし本当にそこまで決裂しているなら、桐島翔太があの会社を立ち上げ、維持できるはずがないのだ。

会社が存続してい...

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