第390章 あれは誰だ

藤咲花音は部屋へ通され、休むよう言いつけられた。扉越しに、外からかすかに祖母様と上仲未雪の話し声が聞こえてくる。

「ケガしたんですって? だったらなおさら病院でしょう」

上仲未雪の声には責める色が濃い。

「姉さん、カノンはもう両親もいない。身内は姉さんだけよ。こんな重いケガなのに病院へ連れて行かないなんて……あの子の両親が天の上でどう思うか」

そう言いながら、誰かに連絡を取って、藤咲花音を病院へ運ぼうとした。

祖母様がそれを制する。

「だめ! 連れて帰る時に主治医が言ったの。もう大丈夫、家で静養すればいいって」

何があっても、藤咲花音を病院へは行かせない。

一度でも病院に行け...

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