第391章 いとこ兄さん

「ちょっと用事があるので、部屋に戻って片づけます。先に失礼しますね」

藤咲花音は相手の様子に異変を感じ、適当な理由をつけて距離を取ろうとした。

しかし男は、彼女の手首を乱暴につかむ。

「待てよ。親戚だろ? 何年ぶりだと思ってんだ。せっかく会えたんだから、ちゃんと話そうぜ?」

掴まれたのは左手だった。引っ張られた拍子に、胸元の傷に響く。

「っ……」

痛みで足が止まり、花音はそのまま二歩、後ろへ引き戻された。

距離が、さっきよりずっと近い。

鼻を刺す酒の匂いに、胸の奥で警鐘が鳴った。

「……じゃあ、お水を持ってきます」

手をほどこうとしたが、男は離さない。むしろ強引にソファへ...

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