第106章

「残念ですが、お断りします」

山下麻友はきっぱりと拒絶した。阿部美奈の父親が、娘の訃報を聞いた時に見せたあの冷酷な姿を、彼女は永遠に忘れることができないからだ。

彼は娘のことなどこれっぽっちも気にかけていなかった。彼が気にかけているのは、いつだって自分に使う金があるかどうかだけだ。

「だが、本当に金がないんだ。これから入院して治療もしなきゃならない。まさか、俺が野垂れ死ぬのを黙って見ているつもりか? 娘の親友だろう?」

阿部美奈の父親の形相は一度として哀れみを誘うものではなく、借金の申し込みというよりは、まるで債権者の取り立てのように獰猛だった。

そんな浅ましい姿を見て、山下麻友が...

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