第116章

山下麻友は警察に通報した。

警察は直ちに捜査と証拠の収集に乗り出した。

この騒動は瞬く間に広がり、少なからぬ患者たちが野次馬根性丸出しで遠巻きに見守るという、病院内でもかなり大きな騒ぎとなっていた。

そして当然、その情報はすぐに中島渉の耳にも入ることとなる。

事務長が尋ねた。

「院長、山口社長に連絡しますか?」

中島渉の脳裏に、ふと昨日の病室での光景がよぎった。伏し目がちに落ち込んでいた山下麻友の姿だ。

山口洸人に伝えることなど、電話一本、一言で済む話である。

だが、どういうわけか彼は長い沈黙の後、こう言った。

「君は先に下がってくれ。少し考えさせてほしい」

事務長が出て...

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