第12章

その時、個室の扉が開いた。

山口文也が足を踏み入れ、二歩ほど進んだところで何かに気づいたように足を止めた。

「おっと、部屋を間違えたみたいだ。失礼」

「おや、文也さんじゃないですか」

誰かが彼に気づき、声を上げた。

「せっかくですから、入って座ってくださいよ」

この場にいる者は皆、同じサークルで共に育った仲間だ。山口文也は山口洸人よりも人当たりが良く、彼らにとっては頼れる兄貴分のような存在だった。

田中紘也が立ち上がり、彼を招き入れた。

「さあさあ、滅多に会えないんですから、一杯付き合ってください」

「洸人もいたのか」

山口文也は山口洸人のほうを一瞥した。その眼差しは、昔...

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