第123章

山口大奥様は、彼の冷ややかでありながら疲労の色が滲む横顔を見つめ、重ねて問いかけた。

「小川渚が帰ってきたんだね」

山口洸人は短く肯定の声を漏らした。

山口大奥様は深く嘆息した。

「罪作りなことだよ」

小川渚が帰ってきたということは……すなわち、あの女も帰ってきたということだ。

彼女は諭すように、重々しく言った。

「洸人、お前に未練があるのは分かる。だがね、よくお聞き。今、目の前にいる人をこそ大切にしなきゃいけないよ。失ってからでは遅いんだ」

山口洸人は長い沈黙の後、淡白に頷いた。

……

祖母の病室を出た山口洸人は、そのまま山口家の本宅にある議事堂へと向かった。

重厚な...

ログインして続きを読む