第15章

しかし次の瞬間、彼女は無理やりその衝動をねじ伏せた。

過去に繰り返された、数え切れないほどの光景が脳裏をよぎる。

いつもそうだった。橋本美波の言動に煽られ、理性を失って怒りのままに反撃するたびに――。

激昂して口走った言葉は決まって橋本美波に切り取られ、彼女がいかに「被害者」であるかを演出するために、他人へと拡散された。

それどころか、彼らのサークル内で格好の噂の種として広まるのだ。

「山下麻友って口が悪すぎるよね、育ちが知れるわ」

「山口社長に嫌われるのも当然だよな。心が狭いし、嫉妬深いし」

「美波ちゃんはあんなに性格がいいのに。いつも彼女を庇ってるのに、あんなふうにいじめら...

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