第152章

小林柚奈は機転が利く少女だった。

誰かが自分のスマホを奪おうとしていると察知した瞬間、彼女は咄嗟に山下麻友へ位置情報を送信し、間髪入れずにスマホを力任せに地面へと叩きつけたのだ。

ここがどこなのか、見当もつかない。だが、最後の現在地だけは送ることができた。

「チッ、どうりでボディチェックしても出てこねえわけだ。隠し持ってやがったか!」

男は激昂し、柚奈の頬を平手打ちした。

「夢を見るなよ、逃げられるとでも思ってるのか!」

「もう警察に通報しました! 今すぐ解放してくれれば、何もなかったことにします。そうじゃなきゃ、お母さんが黙ってませんから!」

小林柚奈はジンジンと熱を持つ頬を...

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