第155章

車は大通りを滑るように走っていた。

車内には山下麻友と、その隣に山口洸人が座っていたが、二人の間にはもう一人座れそうなほど不自然な距離が空いていた。

「どこに連れて行くつもり?」

山下麻友はそもそも車に乗りたくなかったのだが、山口洸人と揉めるのは避けたかった。彼の強情さは、彼女が一番よく知っている。

山口洸人は淡々と言った。

「花火を見に行く」

正気?

私たち二人が花火を見てどうなるというの?

山下麻友は喉まで出かかった言葉をぐっと飲み込んだ。まあいい、現地に着いたらどうにかして彼を撒けばいいだけの話だ。

彼女は窓の外に視線を逸らしたが、山口洸人の視線が自分の横顔に注がれて...

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