第160章

中島渉は病室のベッドに横たわる山口洸人を一瞥すると、スマホを手に背を向け、部屋を出た。

静まり返った廊下の壁に寄りかかり、彼は声を潜める。

「不躾な電話だとは分かってる。だが、山口洸人が倒れた」

「熱は下がったんじゃなかったの?」

中島渉は小さくため息をついた。

「昨夜、急にまた熱を出してね。橋本が……」

そこで彼は言葉を詰まらせた。今、この名前を出すのは不適切だと感じたからだ。

「人に発見されて病院に運ばれてきた。さっき熱を測ったが、かなりの高熱が続いている。丸一日、何も口にしていないんだ」

「そう」

中島渉は虚を突かれた。

そう? それだけか?

いくらなんでも反応が...

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