第162章

彼の掌はひどく熱を帯びていた。山下麻友は反射的に手を引っ込め、立ち上がって淡々と言い放った。

「私ただ、あなたがまだ生きているかどうか確認したかっただけよ」

「なら、期待に添えなくて悪かったな」

山口洸人はソファに手をついて身を起こした。熱はすっかり下がったものの、体にはまだ鉛のような気だるさが残っている。彼は自身のこういった無力な状態をひどく嫌っていた。

山下麻友が背を向けて立ち去ろうとする。

山口洸人はその後ろ姿をじっと見つめていたが、やがてポケットの中のスマホが唐突に震え出した。

石川太陽からの着信だった。

「山口社長、お加減はいかがでしょうか。朝食をお持ちしましょうか」...

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