第165章

足音を殺してそっとドアを押し開ける。廊下に山口洸人の姿はなかった。山下麻友は息を潜め、そそくさと部屋を抜け出した。

あの男は一体どこへ消えたのか。二階からリビングを抜け、玄関まで歩を進めても、依然として彼の姿は見当たらない。

もしかして、もう帰ったのだろうか。

まあいい。今はとにかく、ここから出ることが先決だ。

山口洸人に気づかれるのを恐れ、彼女は電気もつけず暗闇の中で手を伸ばした。手探りで冷たいドアノブに触れ、まさに扉を開けようとしたその瞬間――不意にリビングの照明がパッと点灯した。

闇に慣れきっていた瞳には、その光があまりに眩しすぎる。麻友は思わず目を閉じ、しばらくしてようやく...

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