第25章

山下麻友が胸に抱きしめていた古いノートパソコンが、泥水の中に落ちた。

さらに、無意識に後ずさりした山口洸人の足が、無情にもそれを踏みつける。

メキリ、と嫌な音がして、パソコンの表面に亀裂が走った。

山下麻友の動きが凍りついた。死人のように蒼白な顔で、泥水を凝視している。

次の瞬間、彼女は気が触れたように山口洸人を突き飛ばした。

「消えて! どこかへ行って!」

叫び声とともに、堪えていた涙が溢れ出す。

彼女は泥水の中に飛び込み、そのパソコンを必死に救い出そうとした。

雨脚は強まり、彼女の全身を容赦なく打ち据える。

そんな彼女の姿を見て、山口洸人の胸の奥で正体不明の苛立ちが炎の...

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