第27章

「気持ち悪いだと?」

山口洸人は怒りのあまり笑い出した。

「昔は目が覚める前からキスをして求め合っていたくせに、その時は気持ち悪いと思わなかったのか?」

その言葉は、毒を塗った短剣よりも猛毒だった。

山下麻友は雷に打たれたように硬直り、顔から血の気が引いた。

そうだ……以前、彼が山口グループを引き継いだばかりの頃は、目が回るような忙しさだった。深夜に帰宅し、夜が明ける前にはもう出かけていく毎日。

早朝だけが、二人の温もりを確かめ合える唯一の時間だった。

彼女はその僅かな親密さを貪るように求め、彼に絡みついて引き留めたものだ。彼もまた情欲を抑えきれず、彼女と体を重ね合い、事後には...

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