第35章

彼は思わず眉をひそめ、顔を上げたが、目の前の光景に再び胃の腑が引っくり返るような吐き気を催した。

社長の名は山崎壮馬。五十代半ばで、その体躯は醜く肥え太り、顔は脂ぎっている。

もともと大した能がある男ではない。たまたま時代の風に乗り、ライブ配信会社を立ち上げたに過ぎない成金だ。

創業当時は数十人規模だった会社も、数年で急成長を遂げ、今や業界でも名の知れた大企業となっていた。

今、その豚のような男は社長椅子にふんぞり返り、厚化粧の若い女性ライバーを膝に抱いている。

その女の顔に、阿部雄輝は見覚えがあった。かつて会社が猛プッシュしていた看板ライバーの一人、芸名をリリアンという。

山崎...

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