第37章

「洸人? こんなところで何してるの? どうして戻らないの?」

いつの間にかついて来ていた橋本美波が声をかけた。

彼女の顔色はまだ優れず、手を伸ばして彼の腕を掴もうとする。

山口洸人は眉をひそめた。

「病気じゃなかったのか。家で大人しく寝てろよ、なんでこんなところに来るんだ」

「だってもっと洸人と一緒にいたいんだもん」

橋本美波は甘えるように彼にすがりつき、連れ出そうとする。

その時だった。

「山口洸人、助けて……」

悲鳴のような女の声が、山口洸人の耳を打った。

山下麻友の声だ!

山口洸人は一歩下がると、足を振り上げ、そのドアを蹴り破った。

轟音と共にドアが乱暴に開く。...

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