第47章

山口家の実家へと向かう車中、山下麻友はずっと押し黙っていた。

山口洸人が低い声で告げる。

「表情に気をつけろ。俺が無理強いしたと叔父さんに悟られるな。まるで俺が脅したみたいだろう」

「違うのですか?」

麻友は冷ややかに返した。

先ほど彼女は明確に拒絶した。だが彼は、小林柚奈をだしにして脅しをかけてきたのだ。

山口洸人の手にかかれば、柚奈の職を奪い、叔母の介護をする人間をいなくさせることなど造作もない。

今の彼女に、彼に逆らう術などあるわけがなかった。

彼は彼女の後れ毛を指で掬い上げ、その香りを嗅ぐように顔を寄せた。

「知っているだろう。目的のためなら手段を選ばないのが俺だ」...

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