第64章

山口文也とオフィスで話をしてから、二日が過ぎた。

山下麻友からの返答は、いまだにない。

文也は焦ってはいなかったが、松本綾乃は違った。

彼女は変装同然の厚着で麻友のマンションを訪れた。様子を見るだけのつもりだったが、本人を前にすると黙っていられなかったのだ。

「で、どうするつもりなの?」

麻友は黙ったままだ。

綾乃は畳み掛けた。

「何を悩んでるの? 前二回の配信は大成功だったじゃない。どうして今回は首を縦に振らないわけ? 文也さんの案は完璧よ。麻友さえその気になれば、この騒動を逆手にとって大逆転できるのに」

そうすれば部署で一番のインフルエンサーになれ、ギャラも跳ね上がる。そ...

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