第7章

彼女はとりあえずホテルにチェックインし、そこを当面の住まいとして、近いうちに賃貸を探すことにした。

市の西側に位置する山口家の実家は、重苦しい空気に包まれていた。

山口洸人がリビングのドアを開けて入ると、ソファに座る山口の大奥様の姿があった。その顔色は優れなかった。

「お祖母ちゃん」

洸人は声を潜めて呼びかけると、彼女の機嫌を察して、あえてその隣に腰を下ろした。

大奥様は瞼一つ上げず、その声には隠しようのない不機嫌さが滲んでいた。

「帰ってくる道は覚えていたのかい。山口社長はご多忙すぎて、この家の門がどっちを向いているかもお忘れかと思ったよ」

洸人は声を抑えたまま言った。

「...

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