第98章

早朝、山下麻友が出勤しようと玄関を出ると、そこには山口洸人の姿があった。

彼女は無視して通り過ぎようとした。

だが、山口洸人がその行く手を阻む。

「何の用ですか?」

彼女は隠そうともしない苛立ちを声に滲ませた。

彼はその態度をすべて見透かしたように、冷ややかに言った。

「昨日はどこに行っていた?」

彼は一晩中、彼女を捜し回っていたのだ。

山下麻友は淡々と答える。

「私にも、処理しなければならない用事があります」

「処理する用事だと? 俺に言えないようなことか? 電話一本寄越すこともできないのか」

「どうして私が、あなたに電話なんて?」

笑わせないでほしい。

私がどこ...

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