第10章
週末、月城奏が登山に行こうと提案してきた。
山の中腹まで登ったところで、私は息を切らしてへたばってしまい、彼が自主的に私を背負ってくれた。
「この光景、なんだか見覚えがあるな」
私は彼の広い背中にうつ伏せになりながら、既視感を覚えた。
「実は、君も昔、こうして俺を背負ってくれたことがあるんだ」
月城奏の声が山間に響いた。
私は呆然とした。
「俺が誘拐された時、食事を運んでくれる小さな女の子に出会ったんだ」
彼は過去の出来事を語り始めた。
「彼が施設に来たばかりの頃、いつも『凛』を探しに児童福祉施設に戻りたがっていた」
「ある日、彼がまたこっそり抜け出したんだ。...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
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