第6章

ありったけの力で立ち上がり、私は月城柊の頬を三度、思い切り平手打ちした。

私の爪が、彼の顔に血の筋を残す。

「気でも狂ったのか!」

月城柊は顔に触れ、怒りに満ちた声で問い詰めた。

「一体誰なんだ?」

バスルームのドアが乱暴に開けられ、月城奏が姿を現した。彼は冷笑を浮かべて言う。

「月城柊、女に手を上げるとは、大したもんだな」

場は死んだように静まり返り、その場にいた誰もが騒然となった。

「月城奏!」

月城柊は相手が誰か気づくと、怒りに任せて彼を指差した。

「よくも俺の妻を誘惑したな!」

彼は拳を振りかざして月城奏に殴りかかったが、軽々と避けられ、勢い余って...

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