第31章

高市明里は夏目南と一緒に、南の部屋へ戻った。

着替えを済ませ、出かけようとドアに手をかけたその瞬間――周防律が入口に立ちはだかった。

スーツをきっちり着こなし、背も高い男を前に、明里の目がぱっと輝く。首をかしげて南を見た。

「この人が……南の旦那さん?」

南が口を開くより早く、周防律が淡々と名乗った。

「周防律だ」

「周防律?」明里は眉を寄せ、記憶を探るように少し間を置く。「……なんか聞いたことある名前」

南は余計な説明をする気がなかった。明里の手を引き、そのまま周防律を避けて出ようとする。

だが明里は周防律の顔を二秒ほどじっと見つめ、南の腕を軽く引いて足を止めた。

「あっ...

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