第38章

夏目南は、ようやく好機を掴んだ。周防律が席を立ち、化粧室へ向かったタイミングで――その出口前に回り込み、逃げ道を塞ぐ。

「周防律。私のこと、避けてるの?」

まっすぐに目を覗き込む。答えを、あの氷みたいな瞳の奥から引きずり出したかった。

周防律は冷えた目をわずかに細め、眉を寄せる。

「……俺が、お前を避ける理由がどこにある」

夏目南は視線を逸らさない。

「星辰グループのコアデータ――江村茜に渡したの、あなた?」

周防律の眉間の皺が、さらに深く刻まれる。不機嫌さを隠しもせず、吐き捨てた。

「お前、病気か?」

夏目南は苛立ちに拳を握りしめた。証拠はない。全部、自分の疑いにすぎない...

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