第40章

周防律は、あの離婚協議書をもう三度も読み返していた。

型にはまった条項の並び。夏目南は何ひとつ求めず、完全に手ぶらで出ていく――いわゆる、身ひとつ。

そこに記された電子署名は、妙なくらい軽やかで。迷いなど、欠片もないように見えた。

時刻を確かめ、記憶をたぐる。たしか――ヒロトグループとの契約が流れた、その三日後だ。

あの頃からだ。

彼女は彼女じゃなくなった。じわじわと牙を剥き、鋭い猫の爪を隠さなくなった。

いや、違うのかもしれない。

変わったあとの彼女こそが、本当の夏目南だったのだろう。

結婚して三年。逃げたいと思った回数なら、誰にも負けない。

それでも、離婚を切り出すのが...

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