第42章

周防律は、離婚協議書にまだサインしていなかった。

これまで気づかなかっただけなのか、彼は食事のペースがやたら遅い。夏目南の我慢が限界に近づいたころ、周防律は口元をナプキンで押さえ、さらりと言った。

「協議書、持ってくるの忘れた。次でいいか?」

夏目南は眉をひそめる。

「持ってないのに、私を呼び出して何を話し合うの?」

周防律の表情は相変わらず薄いまま。

「先に話を詰める。書面のほうは、専門の弁護士にもう一度チェックさせたい。連絡するから待ってて」

その言い方が、夏目南の神経を逆撫でした。

「私が協議書に細工でもすると思ってる? 何も要らないって言ったよね」

周防律は横目で彼...

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