第46章

夏目南が医師の診察室から出てきたとき、周防律はまだ電話の最中だった。相手が何を言っているのかは聞こえない。けれど、彼の眉間は深く寄り、顔色は不機嫌どころか、近寄りがたいほど暗い。

夏目南の姿を認めると、彼はちらりと一瞥だけ投げ、指で「待て」の合図をして、そのまま少し離れた場所へ移動して通話を続けた。

夏目南は待たなかった。

バッグから――本当に自分が受けるべき検査の用紙を取り出し、彼とは逆方向へ歩き出す。

検査をすべて終えた頃には、もう二時間が過ぎていた。

その時になってようやく気づく。周防律は探しに来ていない。電話一本すら、ない。

代わりに通知は何件かあった。高市明里からのもの...

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