第60章

薬瓶がくるりと一回転する。周防律は半信半疑の目を夏目南へ向けた。

「本当にビタミン? なんでラベル剥がしてんの」

その瞬間を狙って、夏目南はひょいと薬を奪い返し、バッグへ滑り込ませる。視線は落としたまま、いかにもどうでもよさそうに言った。

「たぶん、うっかり剥がれただけ。干渉しすぎ」

周防律は勝手に想像を膨らませる。

「最近、別人みたいなんだよ。夏目南、お前……うつとか躁とかじゃないの? だから意味もなく突っかかってくんだろ」

夏目南は白目で返し、取り合わない。

周防律は真面目な顔で彼女の表情を観察した。

「もし本当に病気なら、ちゃんと治せよ」

「病気なのはあんたでしょ」夏...

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