第63章

お祖父さんは周防律の家に二日泊まり、二日目が過ぎると「職場がここから少し遠いから」と理由をつけて、ようやく周防律の家を出た。

自宅に戻った夏目南は、玄関を開けるより先に、階下に停まっている見覚えのある車を目にした。

足が、ふっと止まる。

近づくべきか。それとも、気づかれないよう回り込むべきか。

朝日知也だ。

車の窓がゆっくりと下がり、見慣れた顔が、いつもの柔らかな笑みを浮かべて夏目南を見た。声も穏やかで、抑揚も静かだ。

「やっと帰ってきたんだな」

夏目南は結局、逃げられずに車へ歩み寄る。彼の顔を見上げ、どこか確信が持てないまま尋ねた。

「……どうして、うちの下に? 待ってたん...

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