第66章

院長と手短に状況を確認して電話を切ると、夏目南はスマホを周防律に返した。

「先に心配しすぎるな。いまは監視カメラ、ほぼ全域に入ってる。人ひとり探すくらいなら、そう難しくない」

周防律が、珍しく彼女を宥めるように言う。

夏目南はぼんやりと車窓の外を見た。心配しないでいられるはずがない。祖父の症状は良くなったり悪くなったりを繰り返し、もう大半のことを覚えていない。文字さえ忘れてしまっている。

午前五時から今まで、八時間。たった八時間――けれど、その八時間に何が起きるかなんて、誰にも分からない。

介護施設に着くと、院長が入口で落ち着かない様子のまま待っていた。夏目南の姿を見つけるなり、深...

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