第138章 証拠がある

雪乃は証拠をきちんとしまい、スマホを手にして今野浅子のオフィスへ向かった。

ちょうど彼女は役員会の相手と電話中だった。まだこの案件を諦めていないらしい。声には露骨なまでの媚びが混じっている。

「加藤さん、もう一度だけ考えてくださいよ。このプロジェクト、私が引き受けたら――絶対、きれいにまとめてみせますから」

相手が何か言ったのだろう。今野浅子の口調が、ふっと馬鹿にしたものへ変わる。

「加藤さん、考えすぎ。雪乃なんて元々度胸もないし、そんなに気にする相手じゃないですよ」

半開きのドア越しに、浅子の表情が手に取るように見える。雪乃は慌てて入らず、画面のロックを外して録音アプリを起動した...

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