第17章 大富豪の娘

水上伊鶴は鼻でふんと笑った。

かつては水上家の人間だった。祖父のために政略結婚も渋々受け入れた。

けれど今は、もうこの家とは何の縁もない。

水上伊鶴はちらりと彼を見た。まるで赤の他人でも見るような目だった。

西川和也がいちばん我慢ならないのは、そういうところだ。

まるで自分など最初から眼中にないと言わんばかりの、あの気高い態度。

「水上伊鶴、今は実の親のところに戻ったんだってな。水上家のお嬢様って肩書もなくなったくせに、何をそんなに偉そうにしてる?」

「うるさい」

水上伊鶴は耳をほじる仕草をし、そう言って立ち去ろうとした。

その一言が、西川和也の脆い自尊心を真正面から踏みつ...

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