第36章 彼女こそ名医

配信のコメント欄が、一瞬だけぴたりと止まった。次の瞬間、画面いっぱいに「?」が流れ出す。

【どういうこと?】

【名家の裏事情、エグすぎるだろ!】

西川和也はあたふたと配信を切り、手元が狂ってスマホまで花壇に落とした。

その顔が、みるみるうちに醜く歪む。

「水上伊鶴! てめえ頭おかしいのか! 今こんなもん流して、何がしたい! 俺を潰す気か!」

水上伊鶴は一歩、また一歩と距離を詰める。声は低く、鋭かった。

「続けてみなよ。さっきまで上手に取り繕ってたじゃない。西川和也、ひと晩中ひざまずいてた気分はどう?」

「水上伊鶴、俺たちはまだ婚約解消してない。お前は今でも俺の婚約者だ」

「...

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