第44章 私は結城奥さんです

支配人は、こちらの騒ぎを聞きつけると、小走りで駆け寄ってきた。

「お嬢様、どうかお鎮まりください」

ホテル側には、すでに内々に通達が回っていた。芹沢家でいちばん溺愛されている末のお嬢様が戻ってきた、と。

しかも数日前、芹沢家の若様方はわざわざ緊急の本部会議まで開いたらしい。

芹沢グループ傘下の全事業に対し、ひとつの命令が下された。

今後、お嬢様が何をお望みになろうと全力で応じること。万一何かあっても、責任はすべて芹沢家が負う――と。

支配人は、目の前で横柄に振る舞う女を見て、反射的に若様たちの言っていたその人物だと思い込んだ。

胸の内では、いくらか呆れもした。なるほど、ようやく...

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