第51章 俺の義務

水上伊鶴たちの車は路面を何度も転がり、植え込みの向こうの斜面に叩きつけられて、ようやく止まった。

ドアはぐにゃりと歪み、エアバッグがドンッと弾ける。

車体は天地逆さま。底部のタンクから、じわじわとガソリンが漏れていた。

水上伊鶴は、視界がぐるぐる回る感覚に襲われた。血が目の前を覆い、世界は赤く滲んで、輪郭だけが曖昧に残る。

次の瞬間、結城明臣が力任せにドアを引き剥がした。

そのまま、彼女の体が引き寄せられ、結城明臣の胸に落ちる。

ぼんやりした意識の中でも、彼の腕の傷から血が滲み続けているのが見えた。

原田翔は負傷した腕を押さえながら、二人の後ろを足早に追い、枯れた声で叫ぶ。

...

ログインして続きを読む