第54章 後始末

言葉が落ちた瞬間だった。

さっきまで静まり返っていた会議室が、にわかに慌ただしくなる。

水上伊鶴は椅子にもたれ、隅で微動だにしていなかった松井謙雄を指先で示した。

「悪いけど、私を連れて他の部署も見て回ってもらえる?」

そのひと言で、室内の視線がいっせいに角の松井謙雄へ集まった。

同じく今日初めて、未来の後継者候補と顔を合わせたばかりだというのに――なぜよりにもよって、あの人だけが名指しなのか。

松井謙雄は服の乱れをさっと整え、年老いた顔にどこか得意げな笑みを浮かべた。

「はい」

羨望と嫉妬が入り混じった視線を背に、松井謙雄は水上伊鶴の後を追って会議室を出た。

だが、連れて...

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