第7章
浅見水希の視点
病院を退院して一週間後。私は自宅の書斎で、ノートパソコンの画面をじっと見つめていた。検索バーでカーソルが規則正しく点滅する中、私はキーボードを叩いた。
「L市 離婚弁護士 強い」
絶望は、時として驚くほど人の視界をクリアにする。
マンションは不気味なほど静かだった。五十嵐佑真は今朝、いつものように私の額にキスをし、いつものように「今日こそは違う日にする」と約束して仕事へ向かった。「二人でやり直せる」「結婚生活を立て直すことに真剣なんだ」と。
やり直す、ね。思わず乾いた笑いが漏れそうになった。
今度は迷いなく、私の指はキーボードの上を滑るように動いた。
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