第3章

収録の翌日、月華大劇場のディナーパーティーへの招待状が届いた。皮肉なことに、夫とその愛人の成功を祝うための「業界関係者」として、私は招待されたのだった。

「業界関係者」。金箔押しの招待状を見つめ、私は思わず笑いそうになった。五年間の秘密の結婚生活の果てに、私は妻から「業界関係者」に格下げされたのだ。

鎮痛剤はまだ効いていて、喉の疼きを一時的に鈍らせてくれていたが、それも束の間だとわかっていた。私はシンプルな黒のイブニングドレスに身を包んだ。控えめでありながら、紛れもないエレガンスを湛えた一着だ。

午後七時、月華大劇場の個室の食事会場は、ろうそくの灯りに照らされていた。劇場街のエリートたちがシャンパングラスを片手に囁き合っている。足を踏み入れた瞬間、その場の空気を感じ取った。ここは勝者のための祝宴であり、明らかに私はそのリストには入っていない。

沙耶香は高価な白いオフショルダーのガウンをまとい、まるで女主人でもあるかのようにテーブルの間を優雅に行き来しながら、賛辞と祝福の言葉を受け止めていた。その微笑みは雑誌の表紙のように完璧で、一つ一つの仕草から勝利のエレガンスが溢れ出ている。

私は隅の席を見つけて腰を下ろし、この茶番劇を静かに観察した。プロデューサーたちは正人の周りに集まって次のプロジェクトについて話し、投資家たちは沙耶香を絶賛している。そして私は、まるで透明人間のように、完璧に無視されてそこに座っていた。

「芦原さん!」鋭い女性の声が、私の観察を遮った。

顔を上げると、そこにいたのは梨香――沙耶香のマネージャーで、四十代前半の女性だった。高価な紺色のスーツを身につけ、その顔には職業的な傲慢な笑みを浮かべている。

「何か?」私は尋ねた。声はまだ嗄れていた。

「沙耶香は食事にとてもうるさいの。厨房へ行って、有機野菜のサラダを用意してくださらない?」梨香は部下に命令するかのような口調で言った。「肉や魚は一切入れないで。次の役のために体型を維持しているから」

私は彼女を一秒見つめ、それからゆっくりと微笑んだ。「私は女優であって、ウェイトレスではありません。何か欲しいものがあるなら、お持ち帰りでも注文すればいいでしょう」

梨香の目が瞬時に鋭くなった。「沙耶香が今どういう立場か、わかっているの? 彼女が正人と結婚すれば、劇場街の誰もが彼女に頭を下げることになるのよ」

『正人と結婚?』心臓が跳ねたが、表情は平静を保った。『そのためには、まず彼が離婚しないとね』

「静香ちゃん!」偶然通りかかった沙耶香が、私たちの会話に気づいた。彼女は驚いたような表情を作る。「梨香、そんなこと言っちゃだめよ……。静香ちゃん、ごめんなさいね、もし不都合なら、断ってもいいよ」

その声はうんざりするほど甘ったるく、見せかけの気遣いに胸がむかついた。近くのテーブルの客たちが私たちのやり取りに気づき始め、視線が集中するのを感じた。

「ええ、もちろん、お断りします」私は沙耶香の視線をまっすぐに受け止めた。「私は芸術的な功績を祝いに来たのであって、子守りをするためではありません」

梨香の顔が曇り、声が数段高くなった。「沙耶香のために料理をするなんて光栄なことでしょう! あなた、自分が何様だと思ってるの? 落ち目の演劇賞候補のくせに?」

その瞬間、頭に血が上るのを感じた。「落ち目?」五年間の忍耐、五年間の屈辱、五年間の自己抑制――そのすべてが、この瞬間に爆発した。

私はゆっくりと立ち上がった。会場中の視線が自分に集まるのを感じる。「もう一度言ってみなさい」

「だから、あなたはただの――」

彼女に最後まで言わせなかった。テーブルの上のワイングラスを掴むと、そのまま梨香めがけて投げつけた。深紅の液体が彼女のネイビースーツを瞬時に汚し、その飛沫が顔にかかる。

会場全体が、水を打ったように静まり返った。

「お勉強になったでしょう。勉強代は無料にしておくわ」私の声が、静かなダイニングルームに切り込んだ。

「なんてこと!」「正気なの?」「正人さんの縄張りで騒ぎを起こすなんて、何者なの?」四方八方から囁き声が巻き起こった。

沙耶香が悲鳴を上げた。「静香ちゃん、なんてことを!」彼女の演技力は遺憾なく発揮されていた。涙が瞬時に目に浮かび、衝撃と理不尽な仕打ちに傷ついたように見せかけている。

梨香は顔についたワインを拭い、怒りで体を震わせていた。「あなた……本当に、狂ってる!」

「何があった」人込みをかき分けて歩み寄ってきた正人の声が響いた。ワインでずぶ濡れの梨香と、目に涙を浮かべた沙耶香を見て、彼は深く眉をひそめた。

「正人さん!」沙耶香はすぐに彼に飛びついた。「私、ただサラダが欲しかっただけなのに、静香ちゃんが……」彼女は言葉を詰まらせ、最後まで言わなかったが、その傷ついた表情が、居合わせた全員に事情を察させた。

正人は、これまで見たこともないような――冷たく、怒りに満ち、失望しきった目で私を睨みつけた。「すぐに沙耶香と彼女のマネージャーに謝れ!」

「私が謝る?」未だかつてないほどの怒りがこみ上げてくるのを感じた。「私を召使いのように扱っておいて、謝れですって?」

「だとしても、ワインを投げつけるなんてことは許されない!」正人の声は厳しく、まるで言うことを聞かない子供を叱りつけるかのようだった。「沙耶香は俺の――」

「あなたの何?」私は彼の言葉を遮った。「あなたの、何ですって?」

パチンッ!

私の平手が、正人の顔を的確に捉えた。

ワインの件が人々を驚かせたのだとすれば、この平手打ちはまさに大事件だった。ダイニングルーム全体が死んだように静まり返り、誰もが息を呑んだ。

正人は顔を覆い、その目は信じられないという色に染まっていた。この劇場街で、黒瀬正人にこのような態度を取る者は誰もいない。誰一人として。

私の手は震えていた。恐怖からではない。ついに捌け口を見つけた怒りからだ。私はハンドバッグから鎮痛剤を取り出し、皆の前で二錠、水なしで飲み干した。

「何の薬だ」正人の怒りは、一瞬にして心配へと変わった。「どこが痛むんだ?」

彼の目に浮かんだ束の間の気遣いを見て、私はふと、それが馬鹿馬鹿しく思えた。「あなたには関係ないわ!」私は冷たく笑った。「あなたも、その『ミューズ』とやらも、どこへでも消えてちょうだい!」

背を向けて立ち去ろうとすると、後ろから様々な囁き声が聞こえてきた。

「この五年、正人さんにあんな態度を取るやつなんて見たことない……」

「彼女、何の薬を飲んでたんだ? すごく弱って見えたけど……」

「正人さんの縄張りで彼に平手打ちできるなんて、よっぽどの後ろ盾があるに違いない……」

ダイニングルームの入り口までたどり着き、最後にもう一度振り返った。正人はまだそこに立っており、その顔には赤い手形がくっきりと残っていた。沙耶香が衝撃と恐怖の表情で彼の腕にしがみついている。劇場街のエリートたちは皆、好奇心と憶測に満ちた目で囁き合っていた。

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