第7章

日乃出芸術センターの朝の光はいつも優しく感じられた。旭新劇場の稽古場の、床から天井まである窓から差し込み、すべてを金色に染め上げていく。私は鏡の前に立ち、発声練習をしていた。

「静香さん、大地くん、バルコニーのシーンから始めよう」中村さんが台本を手に近づいてきた。

これが『ロミオとジュリエット』の初めての公式な稽古であり、私と大地が本格的に共演する最初の日だった。緊張していないと言えば嘘になる。この役は私にとってすべてだった――自分自身を再び証明するチャンスであるだけでなく、あの男への復讐の武器でもあったからだ。

大地はシンプルな黒いTシャツにジーンズ姿でこちらへ歩いてくる。陽...

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