第8章

【早美視点】

「早美!」

 獣が吠えるような怒声が響き渡り、無菌室の壁さえも震えた。

 私にはもう、首を巡らせるだけの力すら残っていなかった。末期的な毒性ショックの苦しみに身体は激しく痙攣し、終わりの見えない苦痛の嵐に閉じ込められているかのようだった。

 成人がICUに押し入ってきた。その身には数週間分の汚垢と狂気が纏わりついている。傷だらけの両手には、黒焦げに焼け溶け、異様にねじ曲がった金属の残骸が死に物狂いで握りしめられていた。——それは、父の形見であるBrowningの拳銃だった。

「つまみ出しなさい!」

 静留が冷酷に命じた。その鋭い声が、すべての混沌を切り裂く。

「触...

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