第8章

三ヶ月後

浜野工房にはまだ油絵の具の匂いが漂っていたが、すべてが変わってしまっていた。

壁には一枚の新しい写真が掛けられていた。警察の制服を着た蓮の写真。彼のアパートで見つけた公式写真だ。毎朝、私はその写真に、まるで彼がまだここにいるかのように話しかけるのが日課になっていた。

医師は、ショックが原因だと言った。蓮を失ったトラウマ、起きたことすべてのストレス。私の体はそれに耐えられなかった。彼の葬儀の二週間後、私はお腹の子を失った。彼のもう一つの片鱗も、永遠に失われてしまった。

「あの子たちがもっと早く危険のサインに気づいていれば、有栖は……」

言葉を途中で切り、絵筆を置い...

ログインして続きを読む