第26章 口コミの逆転

草薙隼人は青山希にかすれた声で、力なく微笑みかけた。

「助けてくれてありがとう」

青山希も彼に優しく微笑み返す。

「お互い様ですよ。人を助けるためだったんですから、お礼なんて水臭いです。当然のことです」

彼女には、草薙隼人が善人であり、芸能界では稀有な誠実さを持つ人間だと分かった。

青山希は、ずっと草薙隼人のことを高く評価していた。

もし以前の二人が、あの腹黒い兄妹を共通して嫌っていることから生まれた暗黙の了解で繋がっていたのだとすれば、今回の救出劇はまさに以心伝心だった。

青山希は、彼が自分と一緒に人助けに来るとは全く想像していなかったし、これほど息が合うとも思っていなかった。

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